おいしいコーヒーの向こう側

 私たちが何気なく飲んでいるコーヒー。日本では安くておいしいコーヒーをいつでも飲むことができますが、コーヒー豆の生産者である中南米の国々では、過酷な労働や不当な価格操作など、コーヒー生産に起因する様々な問題が起きています。

 この背景には、生産者であるコーヒー生産国と、販売者であるコーヒー消費国との間におけるパワーバランスの偏りがあります。コーヒー消費国は市場の相場を基に価格設定を行う一方で、コーヒー生産国は消費国の流通網に乗せないとコーヒーそのものが売れないため、決められた価格設定に従うしかありません。

 例えばコロンビアのとあるコーヒー農家の場合、2018年はコーヒー豆1袋(12.5kg)を作るのに2400円のコストがかかりましたが、市場価格の暴落と害虫被害による品質低下により、1袋あたり2300円でしか買い取ってもらえませんでした。作れば作るほど借金が増える……こんな商売が正しいはずがありません。実際にコロンビアでは多数のコーヒー農家が経営破綻に陥り、収益のないコーヒーから違法麻薬の栽培に切り替えているケースもあります。

 現在、フェアトレードの普及や価格安定化基金の設立によって、少しずつコーヒー農家の状況は改善しつつありますが、コロナ禍による市場の乱高下や温暖化による気候変動など、依然としてコーヒー産業には暗雲が立ち込めています。

子どもたちを支えるコーヒー

 「このままでは生きていけない」という理由でコーヒー豆の栽培をやめる農家がいる一方で、おいしいコーヒーを作るために努力を続け、独自の流通網を築いて適正な利益を確保している農家もいます。

 エチオピアで革新的なコーヒー作りをしているエレアナさんもその一人。全世界に流通しているコーヒーの中で上位5%に入ると言われるほど高品質なコーヒー「スペシャルティコーヒー」の生産、輸出に取組み、

BE KOBEミライPROJECTでは、大学生ボランティアが中心となって「地域課題を解決するコーヒー」を作るワークショップを行いました。 日本をはじめ、世界中で多くの人に親しまれているコーヒーですが、実は生産地で貧困の原因になっているという問題をご存知でしょうか。


 ワークショップでは、私たちが何気なく飲んでいる低価格なコーヒーが、生産地の都合を無視した世界的な相場によって提供されている、という問題を学びました。さらに、中間業者を挟まないことで生産地の適正な利益を確保する「ダイレクトトレーディング」という流通方法と、その手法によって得られたコーヒーの利益を用いて地域の子どもたちが通う学校を建設しているコーヒー業者の方の話を聞きました。最後に、本当に地域のためになるコーヒーとは何なのかをみんなで考えました。


 そうして生まれたのが「ミライをいろどるコーヒー」というコンセプトを持つ「BE KOBE スペシャルティコーヒー」です。このコーヒーは、ティーバックタイプで手軽に淹れることができ、売上の一部が生産地(エチオピア)の子どもと、消費地(神戸)の子ども、両方の支援に使われる仕組みになっています。